外出先でトイレに入ると、いつも疑問に思うことがある。
エレガントなマダムもお洒落な会社員も、手を洗った後には
設置してある温風機で手を乾かす。
彼女達は、ハンカチを持ち歩かないのだろうか?
ハンカチでなくてもハンドタオルなど何か拭う為の布は、
外出の際の必需品じゃないのか?
美しく着飾った上品そうな女性が、
あのグォ〜と言う激しい音と共に吹き出る風の中に手を翳す姿は
余りにも興醒めだ。
もしスワト-のハンカチなんか取り出してくれたら、完璧なものを…。
なぜこうなってしまったのだろう。
私が小学生の時、毎週1回は抜き打ち身だしなみ検査があり、
ハンカチ、ティッシュ、爪の長さを調べられた。
特別厳しいものでは無く、忘れたからと言って罰せられる訳ではないが、
自然と、ハンカチとちり紙は子供ながら持ち歩く習慣がついた。
生活と密着したものであり、その人らしさが表れるものでもあり、
贈り物にもなったし、集めたりもしていた。
ジーンズの後ろポケットからチラッと見えるハンカチの柄に、
お洒落心を感じたりもしたものだ。
それが今や無くなりつつあるのだろうか?
それもこれも、トイレの手拭き用の紙タオルから始まったように思う。
しかしこれは余りにもバブリーであり、また環境問題への関心もあってか、
程無くして例の温風装置に変わった。
そしてハンカチを取り出す人を見なくなった。
エチケットと言う面でも気になるが、温暖化を考えたら、
あの熱い風はかなり地球を痛めていると思う。
便利とか簡単って、心も簡素にしてしまうよね。