葉山在住のカメラマン サーファーの芝田満之さんのお好きな海は、ホームポイントの湘南。
その湘南の海を取り上げた写真集が「Saltwater Sky」。
芝田さんの写真を見ると、いつもジューシーな色だなぁと感じていた。
はっきりとした色調ながら、とてもリラックスさせてくれると同時に、
その海、その風景の一番綺麗とされる色を捉え、
その地への憧れを抱かせてくれる。
それが今回はかなり淡い色が使われ、少し幻想的な印象。
絵画的にしたかったそうで、確かに「撮る」より「描いた」と言った感じ。
オンショアが好きなんだよと仰っていたように、
穏やかな海面、ぼんやりと写し出された水平線、
太陽が昇る前の仄かに赤みをがかった空、
どれもが湘南であり、どれもが見たことのない湘南。
眺めていると、撮影された海岸へ、同じ季節、同じ時刻に行きたくなる。
この海で特に心に残る事をお聞きすると、
逗子湾に大きなウネリが入り、端から端まで一本の波が繋がった時、
まだサーフィンを始めて間もない奥様が一緒に入った日の事。
波にしっかりと乗っている姿を見て、
何とも言葉にし難い、とても良い時間や空間を分かち合っていられる、
そんな幸福感に満たされたのだそう。
「こんなこと、奥さんには直接言わないけどね」と照れていらしたけれど、
ふと、芝田さんが写真をとる際に心掛けていると言う言葉が甦った。
「自分の写真を見た人が、その場に行きたいと感じて貰いたい」。
自身で得た感動を、皆と共有したいと言う思いは、波乗りも写真も同じようだ。