村上春樹著 稲越功一写真の「使いみちのない風景」を読んだ。
趣味と評される程、長年に渡って数多くの国を旅行している村上春樹さん。
そんな中で、自ら覚えておこうとしたものではないのに、
いつまでも断片的に頭の片隅に残る風景や光景があるのだそう。
それは突然思いもよらず浮かび出し、自身を戸惑わせるのだとか。
例えば、似ている場所を見て「あそこもこんなだったなぁ」と
自ら収めていた心のアルバムを開くのとは違って、
居る場所とも前後の会話ともまるで関係ない時にふと現れ、
しかもいつまで経っても薄れない。
村上さんの場合、小説になるかと言うと、これまたネタにも出来ない、
まさに「使いみちのない風景」。
しかしそれこそが旅の醍醐味、
そこでしか見る事の出来ない風景なのだ、と書かれている。
使いみちのない風景、使い道の無いもの、
実はそこに人間は惹かれるのかもしれないな。