映画「大鹿村騒動記」を見てきた。
館内は、かなり平均年齢が高い。
出演が、先日なくなった原田芳雄さん、岸部一徳さん、
大楠道代さん、三國連太郎さんなどとなれば当然か。
しかも題材は、長野県大鹿村に300年続く、村人による大歌舞伎だ。
私がこの映画を見ようと思ったのは、
この山深い村に2度行った事があったからだ。
1度目はもう15年位前。
田舎生活を楽しむエコツーリズムを紹介すると言う仕事で訪れ、
その時の第一印象は自然の音以外、人の声すら無い、だった。
しかし、幾つも幾つも重なる山にすっぽりと包まれた寂しい程の清々しさ、
山にこだまするように響き続ける川の音、
素朴で暖かみのある土地の味…、どれも心の底にじんわりと残り、
数年後にまた遊びに出掛けた。
時間が止まっていたかのように、まったく変わっていなかった。
今回もこの映画の冒頭の風景を見た途端、懐かしさが込み上げてきた。
大鹿村の人々の歌舞伎への思いや、守り続けてきた誇りも思い出された。
この映画には凄い感動とか、号泣とか、心の振動がある訳ではないけれど、
市井の人々の温もりにほっこりする、日本人らしい娯楽映画だと思う。