後れ馳せながら、木内昇の「漂砂のうたう」を読んだ。
江戸から明治へと新時代へ向かう中での、宿場町の遊郭が舞台。
読み始めてから8割りほど過ぎるまで、
苦い苦い薬草茶を飲んでいるような気分で文字を追っていた。
疑いや裏切り、もがき、不安と言った負の空気が漂い、
どこへ到達するのか分からない暗闇を歩く心地なのだが、
でもページをめくる手を止められない、そんな不思議な感覚で読み進んでいった。
すると最後に、光が差し込むどんでん返しが待っていた。
海水の中で荒波に揉まれていた砂の粒々が、
波が穏やかになって地へと落ちて美しくまとまったかのよう。
読み終えてから、再び人物が語る言葉を振り返り、ぐっと深まる一冊でした。
特に主人公が武士であった事に触れる部分、染みます・・・。
お正月休みに如何でしょう?